大島紬を美しく着こなすための「きものマナー」をご紹介します。
着姿の美しさこそが「きもの美人」の信条。
素敵なコーディネートをさらに際立たせるためにも、着付け、そして立ち居振る舞い、ヘアなど細部にまで心を配ること。それがきもの上手の秘訣‥。
裾すぼまりのシルエットはきもの姿をすっきり、美しく見せてくれます。
着付けの際、下前(したまえ)の褄をふわり持ち上げる感じで少しだけたくし上げて、その上にかぶさる上前(うわまえ)の褄を数センチ右に上げます。
上前の褄を上げることに意識しすぎて、着丈が短くならないように注意をして下さいね。
きもの姿での立ち居振舞いは着慣れていないと、少し不安なものです。
袂(たもと)が優雅に見えるように、洋服の時よりも、手先に注意を払うことが、きものを着こなす際のポイントでもありますが、足元にも心を配ることを忘れないで下さい。
膝頭をしっかり付けて、静かに歩く。
これは、きもの姿を一番美しく見せる「日本舞踊」の基礎の歩き方。
また右足を出す時も左足を出す時も、膝を曲げる時も、両足の膝頭をしっかり付けること。膝頭を意識的に近づけて歩くと、自然に歩幅も狭まり、少し内股気味に女性らしく歩けるものです。
しずかに颯爽と歩くきもの美人。秘訣は歩き方に‥。
長襦袢の衿は出過ぎず、引っ込み過ぎず、バランスよく、きもの姿の時には特に心掛けましょう。
長襦袢の衿を詰め過ぎず、Vラインを鋭角にすると首(首がほっそり、長めに見えます)から肩のラインが美しく見えます。
衣紋が程よく抜けず、男性のきもの姿のように首にピタリとくっつき過ぎているのも、どこか野暮ったいもの。抜き過ぎもあまり、品のある装いには見えません。そのあたりが難しいところ‥。
特にアップ・ヘアの方はフォーマルの着物姿とは違い、紬姿ではあまり衣紋を抜かないこと。紬はフォーマルより、やや詰め気味に着こなします。紬姿の全体像は「小粋」が信条。
衣紋の抜き具合は体型、年齢(20~30代の方は特に衣紋は抜き過ぎないように)とのバランスを考えながら、こぶし一つ分の目安にご自分のさじ加減で美しい衣紋を抜くように心掛けて下さい。
紬コーディネートにおいて、一番、必要なエッセンスはマイナスの美学をもつこと。
色の組み合わせの多色使いを避けて、シンプルに美しく、着姿を際ださせるにはスタイリングの色数をしぼる。たとえば帯〆の一色に色のポイントをもってくることなど‥。
帯上げは大島紬の場合、その持ち味の“洒脱”さを活かすためにも、すっきりと帯中にしまい、スマートな印象に仕上げることがよりしゃれ味を強調させます。きもの、帯を活かすのは最後の小物合わせにかかっています。姿美人になるためには気の抜けない、一番の要(かなめ)です。
ショート・ヘアの方は軽く髪をととのえる程度で、アップ・ヘア可能な方は、きもの姿はやはり襟足を見せることが「美しさ」の由縁。出来るだけく髪を整えて、アップ・スタイルを目指して下さい。
そして、紬の場合はフォーマルの場合とは違い、あまり大きく結いすぎないように、シンプルなヘア・スタイルを心掛けましょう。かんざしは耳よりも低い位置にさせば落ち着いた雰囲気、高い位置にさせばエレガントに見えます。
かんざしも紬と訪問着とではセレクトが違ってきます。大島紬の格式を考えても、カジュアルなものを選びましょう。竹製のもの、シンプルで遊び心のあるタイプを選びます。
またかんざしを使わないアップ・スタイルも結い方によってはとても艶やかに。小粋に美しく見えます。